第3回神大・東大共催フォーラム「グローバル化経済にみる我が国の食の安全と農業の行方」講演を聞いてきました。午後の部

例年だと引き続きセミナーとなるのですが、
今回は、毎年9月に行われている神戸大学大学院農学研究科公開講座との連携開催ということになり、
神戸大学大学院農学研究科の取り組みについて各専攻の先生からお話がありました。
午後のプログラムは次の通り。(敬称略))

「食の安全安心に向けた神戸大学食の安全安心科学センターの取り組み」
大澤 朗(神戸大学大学院 農学研究科 食の安全・安心科学センター長)
このフォーラムの共催者である神戸大学食の安全安心科学センターの取り組みついて説明。
農学というのは実は非常に広い分野に関連している。
例えばフードチェーンで考えると原材料から製品まですべての行程に関わっていることを認識しなければならない

「ポストハーベストにおける食の安全・安心確保技術」
豊田 浄彦(神戸大学大学院農学研究科 食料共生システム学専攻 教授)
収穫後の作物(主に作物、一部加工後)の新しい検査技術の話。
それも液クロやガスクロを使うのではなく、現場ででの支援というスタンスでの検査技術は今後考えるべきだと思いました。
分析機関のように、それも生業にしている組織は別として作物を収穫する、あるいは加工する組織において、
工程管理において液クロやガスクロを使うことは必ずしも妥当ではなく
(イニシアル&ランニングコストの問題、使用する有機溶剤の保管管理・処理の問題、非破壊検査ではない点)
生産現場における非破壊検査は今後取組べき領域だと思いました。

「食資源教育研究センターにおける食の安全安心を意識した農場実習への取り組み」
石井 尊生(神戸大学大学院農学研究科 食資源教育研究センター長)
神戸大学農学部では食資源の生産現場を身を以て知るということで、農場実習が積極的に行われており、
その実習内容の紹介でした。
近年は、近隣の大学で食に関係する学部学科の生徒の実習も受け入れており、その数も年々増えていました。
最近、食育で田んぼ体験の話をよく耳にしますが、大学生の場合農場実習=食資源の生産現場を知ることによって、
その後の流れ、例えば牛や豚なら屠殺されて解体されてさらに細かくわかれてカットされてパック詰めされて売られるというのがわかるでしょうが、
(野菜や果物も同様)
未就学児童や小学校低学年児童がたった1回の田んぼ体験でわかるのか?と常々疑問に思っていました。
はっきりいって、1回の経験では児童の頭の中の知識はつながりません。田んぼ体験は田んぼ体験。お米はお米。
でも、それを繋げるヒントがお話の中に隠されており大変勉強になりました。

「食糧生産を支える最近の科学技術とその応用研究」
今石 浩正(神戸大学大学院農学研究科 生命機能科学専攻 教授)
現在、食品添加物や農薬の安全性評価はまず 試験管レベルで行い、そののち動物実験となりますが、
昨今の動物実験で使う動物を減らそうという世界的な動きと、
人体において意図せず有害な物質は動物実験だけではわからない(例 アフラトキシンはシトクロムP450により活性化される)
もちろん機器分析だけではわからない。
等の理由から、動物実験を行わずかつ人体において意図せず有害物質を作り出すもの調べる技術の研究ということで、
現在、このシトクロムP450に着目して毒性を推測する技術開発の話でした。
既知の物質を使いこの新技術での分析結果を既知のデータと比較すると相関関係がとれているようで、実用化が楽しみです。

そして最後に本日の演者の方を中心に檀上に集まり
パネルディスカッション「グローバル化経済にみる我が国の農業と農学の行方」
パネリスト:中嶋康博、天羽隆、冨岡伸一、豊田浄彦、石井尊生、今石浩正、草苅仁
この日お話された内容に関する質問に改めて回答をいただきながら、そこに他の演者の方も一言付け加え、
有意義でかつ大変盛り上がったパネルディスカッションでした。

そして最後に閉会の挨拶(関崎 勉(東京大学大学院農学生命科学研究科 食の安全研究センター長))がありました。

朝から夕方まで丸1日でしたが、それを感じさせないぐらい、あっという間だった今度の自分の活動に役に立つ事が盛りだくさんな有意義な1日でした。