農薬からみる安全と安心の違いと論理的思考

最近世間をにぎわしている作物の話から、農薬についてとやかく言われているのをオンラインオフラインに関わらず、よく見聞する。農薬を使わない栽培方法がいいのか、使用した慣行栽培がいいのかは、各自の主義・主張の問題であるので、第三者がそれをとやかくいう必要もないしいえないけど、その主義主張はあくまでも感情論であり、科学的理論ではない。
つまり、今回の農薬の話しだと、科学的な安全性については、内閣府食品安全委員会で評価され確認されている。ただし、安全と安心は違うので、安全だと言われても安心できないというのはある。それで自分の選択をどうするかは個人の自由となる。ただし問題は、安全と安心を混同していることと、安心の定義・スタンスで安全を語ることである。
こうなってくると、もともとが論理的思考で話ししていないので、何を語っても無理だと思い、世の中で飛び交っている内容を眺めていたのですが、さすがに行きすぎを感じたのか、食品安全委員会から次のようなコミットメントが出ています。

「農薬のイメージ」(食品安全委員会委員長代理 三森 国敏)
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食品安全委員会が内閣府に設置されて今年で10年が経過します。その間審議された品目数は1405に
なりますが、その中で農薬の審議品目数は540を超えます。その一方で、国民の皆様からの農薬に対
するイメージは、「危険性がある。」、「体に良くない。」、「環境を破壊する。」など、相変わら
ず悪いイメージをもつ方々が多いと思います。
このような「農薬離れ」は、戦前から戦後間もないころに開発された有機塩素系除草剤や有機リン系
殺虫剤などの農薬の毒性が非常に強かったことに端を発していると思います。食料難が深刻であった
当時の農薬開発は、害虫の駆除や雑草の除去などによる生産性の向上を主な目的としており、ヒトへ
の健康影響や環境に与える影響などについては、あまり考慮していなかったわけです。
このような過去の「危ない農薬」から脱却するため、政府は1972年に農薬取締法を大幅に改正し、
農薬の哺乳動物に対する毒性(発がん性や生殖発生毒性等)、作物や土壌中の残留や環境への影響など
多岐にわたる資料提出を義務付けるようになりました。このような流れから、農薬メーカーは、ヒト
や環境にやさしい農薬を開発する努力を進め、現在では、上記の厳しい規制をクリアしたもののみが
承認されるようになっています。にもかかわらず、農薬に対する国民のみなさんのイメージは昔のま
まです。
食品安全委員会では、農薬について正しい認識を持っていただくため、農薬の毒性等をわかりやすく
解説する等、国民とのリスクコミュニケーションを積極的に進めております。

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これを読んでも、それでもイヤだという人は、それはその人の考えなのでそれはそれでOK
ただし、その感情論で他方を非難することは科学的でも論理的でもないことを認識していただきたい。

女性農林漁業者とつながる全国ネット「ひめこらぼ」

農林水産省FCP会議に参加した際に、農林水産省経営局就農・女性課 女性・高齢者活動推進室 共同参画推進班 活動推進係の 村上益代さんから“ひめこらぼ”の紹介がありました。

ひめこらぼとは、農林漁業に携わる女性経営者や若手女性農林漁業者の経営発展を目指すネットワーク。でも、農山漁村女性だけでなく、農業以外の異業種分野、民間企業に所属する日値も参加することができ、ビジネスパートナーとしての関係づくり、情報交換・交流・連携を進めているそうです。
というわけで、直接一次産業に携わっていなくても、また女性でなくても、フードチェーンに何らかの形でかかわりのある人はぜひ参加して下さい!という紹介でした。
もちろん私も早速参加の手続きをさせていただきました。

ご興味のある方は、こちらをご覧ください。

農林水産省FCP 「つながる会議」~食の信頼向上に女性の感性を活かす~に出席しました。

農林水産省 フードコミュニケーションプロジェクトにおいては協働の着眼点をつくりこみ運用段階という拡大期へ進んできました。
そこで、FCPのメンバーが従来あるプログラムに参加するだけでなく、もっと情報共有や意見交換することが大切!顔の見える交流で新しいつながりを築き、!ということで今年から始まったのが、この「つながる会議」です。
そこで第1回は「食の信頼向上jに女性の感性を生かす」と題して行われました。
当日は6~7名のグループにわかれグループディスカッション
○女性の感性を今の仕事にどういかしてるか?それは協働の着眼点にどこにあてはまるか?
○女性の感性を活かした今後のFCP活動

ディスカッションの結果については改めて農林水産省から方向があるので、詳細はここでは差し控えますが、
女性ばかり全部で50名程度。この人たちがグループにわかれて喋る喋る。
いい意味で賑やか。もちろんグループディスカッションの結果もグループによって特徴があり、聞いていても興味深く有意義でした。
農林水産省担当部署の方は開催前はこんなに活発はディスカッションになるとは思っていなかったようで、手ごたえを感じていらっしゃったよう、サブテーマの女性の感性を活かすは継続的に行いたいようでした。

今後のサブテーマの設定は未定ですが、「つながる会議」は今後継続して行われるので、時間の許す限りできるだけ参加したいと思っています。

函館 観光編

さて、はこだて国際科学祭に参加するために函館に赴いたのですが、
現地で共同研究している友人がせっかくきたのだから科学祭のイベントだけというのはもったいない!
ということで、私が滞在中に忙しいにも関わらずあちこち連れて行ってくれました(感謝!)
有名どころやそうでないところもあわせてご紹介

「五稜郭」「函館奉行所」
函館奉行所は当時の資料をもとに数年前に当時と同じ工法で再現。

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「大沼国定公園」水辺は気持ちよかった~この湖にたたずむカフェはクルージングカフェ。大沼をクルージングしながらお食事がいただけます。船でなくこの艀の状態のままというのが他にもなくて魅力的(私が行った時は時間の都合で経験できませんでしたが次回はぜひと思っています)

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そして、有名なロープウエィからの夜景。実は観光シーズンというのもあり、ここに来るのに苦慮したのですがやっと来れた!でした。
なお、写真にはおさめていませんが、知る人ぞ知る“裏夜景”というのがあり、そこにも連れて行ってもらいました。

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そして函館の港湾クルージング。実は私は船が大好きで(生前は海軍にいたのかと思うほど 笑)、船・クルージングには目がないのです。陸地からみた港と灣からみた港はまた風景や趣が違うため、見ているだけでも楽しいの一言です。
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函館もやはり北海道。酪農が盛んで牛乳が美味しい!ある酪農公社見学をし、そこでソフトクリームを食べながらみた風景。
実はこのずっと先に函館空港の滑走路があります。でもちっともうるさくなく不思議だね~と友達と話していました。
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かいつまんで一部だけですが、函館観光編でした。
もし仕事で旅行で函館に行くことがあれば参考にしてください^^/

はこだて国際科学祭2013に参加しました

はこだて国際科学祭は2009年からスタートしており、函館の街全体で行うサイエンスフェスティバルです。
もともとは科学コミュニケーションとそのネットワークづくりからはじまり、現在は産官学民参加のフェスティバルとなっております。
https://www.sciencefestival.jp/support/about_index.html#festival

さて、このはこだて国際科学祭ですが、毎年テーマがあり今年は食育。
ちょうど、食育に関して函館高専の先生と共同研究をしており、
ぜひ!ということで、函館工業高等専門学校のブースにて食育イベントを行いました。

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やった内容は2つ
ひとつは「白いホットケーキの秘密」
もうひとつは「水に浮く野菜、沈む野菜の不思議」

白いホットケーキはアミノカルボニル反応を利用した実験であり、これはきつね色にならない不思議やどうしたらきつね色になりやすいか、だから他の料理でもきつね色になりやすい(場合によってはこげ茶色になる)のを子供だけでなく、大人の方にも理解していただけました。

水に浮く野菜・沈む野菜は浮く野菜、沈む野菜のそれぞれの共通点は何か?それぞれの違いは何か?から植物学的な違いにまで考察が及び、さぁーみんなで考えよう!状態でした。さらに沈む野菜は小さくなると浮くかという実験も行い(ちなみにいくら小さくしても浮きません)、なぜいくら小さくしても沈むのか、それには密度が関係し、密度や比重の話も行いました。ここまで話が及ぶと興味をひきつけられているのは大人の方で普段の生活の実体験からなるほどと理解していただけました。

 

これらふたつとも普段の生活ではありふれた事象ですが、科学的に理解することによって子供たちの視野は思考が広がったのではないかと考えています。

ちなみに来年のテーマもすでに決まっており、またそれにむけて少しずつ準備していきたいと思います。

漂白剤と間違えた まとめ

何だかNAVERまとめみたいなタイトルですが(笑)
またもや、飲食店において漂白剤とお茶とを間違えて提供したという事件があり。
この手の事件、度々起きているのでちょっとまとめてみた。

2011年4月 飲食店 アイスゆず茶製造用の冷水と漂白剤入りの水を間違えて使用。
2012年7月 焼肉店 焼酎のペットボトルにいれて保管していた液体の漂白剤を焼酎と間違って客に提供。
2012年10月 居酒屋チェーン 1合サイズのガラス製とっくりに漂白剤が入っており、それを日本酒だと思い提供。
2013年3月  ドーナツチェーン 漂白用の液体を誤って客に提供(600ppm)
2013年8月 食堂チェーンで漂白剤の希釈液を入れたお茶くみポットを店内に置いていたところ、店員がお茶が入っていると思い客に提供。

一番の発生原因は、喫食する容器に小分けしていれているということ。これは絶対してはいけない。
これを指摘して返ってくる答えでよくあるのが「表示してあるから大丈夫」
いえいえ、人間はそんなに賢くありません(笑)表示してあるから大丈夫という油断した気持ちが一番危ないし、誤飲しないための対策は何重にもしておくことが必要。
専用の容器に入れる、表示をする、個数管理をする、通常は別の場所に隔離して保管する等

事件が発生しているのが飲食店なので、食品工場等他のフードチェーンの組織は関係ないと思っているヒトが多いですが、
一事が万事。工場内で使うアルコールの管理も同様。

漂白剤の誤飲以外にも、洗剤と炒め用油と間違えた等の事例もあり。

この件で、知人は他山の石と言ってました。まさしくそうなのですが、ここまできたら他山の石レベルではありません。
「賢者は歴史に学び、愚者は経験に学ぶ」です。
あなたは、過去に発生した経緯(歴史)から学ぶ賢者になりますか?
それとも、自分が経験したことからしか見いだせない愚者ですか?

寄生生物 サイクロスポラ(8/4加筆、8/20加筆)

最近、米国でサイクロスポラのアウトブレイクをよく耳にするので、サイクロスポラについてまとめてみた。

サイクロスポラは1990年代に米国・カナダでのアウトブレイクをきっかけに新たにみつけられた新興寄生虫であり、腸の感染症を引き起こします。
潜伏期間は7日前後と長いため、このサイクロスポラの影響であることがわかりにくく、原因食も判明しにくいです。
また、塩素など薬剤に対する耐性は不明ですが、いわゆる水道水レベルの塩素では効果がないことはわかっています。
主症状は水溶性の下痢でトイレの回数が著しく増えます。
その他の症状としては、
食欲不振、体重減少、むくみ、鼓腸、胃けいれん、悪心、おう吐、疲労感、筋肉痛及び軽度の発熱などです。
治療せずにほっておくと下痢症状が1ヶ月以上持続したり、再発を繰り返したりすることがあります。
なお、サイクロスポラ感染症である確定試験は糞便試料からの検査となります。
2013.8現在アメリカで主に治療薬として使用されているのは、トリメトプリムースルファメトキサゾールの組み合わせ。あるいは、サルファ剤アレルギーを持っている人のために、シプロまたはニタゾサキニドも可能な代替手段のようです。

汚染源は外界、つまり食材を生育している土地での水等により汚染されたものが除去しきれないまま提供されることによって引き起こされます。
日本ではほとんど発生例はありませんが、サイクロスポラ感染症がよく見られる国(中南米、カリブ海の島々、東欧の一部、東南アジアなど)では、生ものや生水は控え、よく加熱されたものを食べましょう。
また、これらの地域に旅行にいって、風邪に似た症状や下痢が3日以上とまらないときはすみやかに病院に行きましょう。

今回のアメリカでのアウトブレイクの原因食品はサラダミックスであることがわかっています(日本で言うところのサラダ用カット野菜ミックス)。そのため、原因究明のために生産もとにて現在調査中。新しい情報が入ればアップデートします。
また、消費者にはサラダミックスを使用する時は水と酢で洗うように指示がでています。こちらについてはサイクロスポラに酢が効果があるのかも含めて効果的な予防法の検証を確認していきます。

 

8/20加筆
米国でアウトブレイクしたサイクロスポラ症は症例数600、発生した州は20州に拡大
さらに、発症日のほとんどが6月中頃~7月中頃であったにもかかわらず、250症例が8月に発生。
原因食材とルートは判明しているが、現在CDCで医療情報を収集中。
また、エビカーブを見る限り単一暴露ではないため、原因調査続行中。

現代ニ八(にっぱち)考

私の子供の頃は、ニ八(にっぱち)といって、2月と8月は商売あがったりと言われたものだ。
それから少し年月がたち核家族が増え、いわゆる帰省による民族大移動が始まり、それに関連するところは逆に忙しくなった。そしてさらに時が経ち現在は、個人としては夏季休暇をとるが会社としては関係なく稼動しているところ、依然として夏季休暇いわゆる盆休みをとるところと様々である。
夏季休暇をどのようにするかは、そこの地域性や会社の考え方があるのでどのスタイルであろうととやかく言うつもりはさらさらない。問題は夏季休暇なく稼動している会社はそのつもりで采配するし、逆に夏季休暇のあるところはそのつもりで采配する。その両者に間に介在して仕事をしていると、その調整もあわせて大波のようなスケジュールが展開される。
そうなると一番大切なのは仕事の舵をいかに上手に自分で握るかということである。
ややもすると、相手に翻弄されて自分の思惑と違ったスケジュールにさせられてしまうことがある。
常々もそうだけど、ニッパチという特殊な環境だからこそ、なおさらしっかり舵を握って自分で舵とりをしないと、年末までの残りの期間さえも荒波に翻弄されてしまう。
そんな事を思った今年の8月お盆休み。

実はタイレノール事件から何も進歩していない

先日、某酒造会社に、商品に毒を入れたという連絡があり商品の回収を行った。
原因はなんであれ自主回収というのは現在日常茶飯事であり(年間約900件程度の自主回収がおこなわれれている)、ましてや、毒を入れられたというのはらば回収するでしょ。というのが一般消費者の心理だと思うし、さらに最近発生した美白化粧品の問題と比較している人もいる。

さて、ここであらためて食品に意図的にいたずらをされる可能性の有無について考えてみたい。
今回のように、商品へのいたずらをタンパリングといい、タンパリングの最初の国際的な事件は1982年のジョンソン&ジョンソンのタイレノール事件である。日本国内でタンパリング事件として最初に認識されたのは、1984年に発生したいわゆるグリコ・森永事件であり、これを機に製造会社では外部からのいたずら防止つまりタンパリング防止に力をいれるようになり、万一、外からいたずらされた時にそれがわかる包装形態へと変えていった。

例えば、
お菓子のオーバーラッピング(商品全体を包んでしまう、商品によっては開封しました表示が出る)、
インスタントラーメンなどのシュリンク包装後の賞味期限表示(いたずらしてシュリンク包装まであわよくば出来たとしても全く同じ賞味期限印字をうつことは極めて困難)、
飲料のピルファープルーフキャップ(ペットボトル飲料などで開栓するとキャップの下部が破断して容器口に残るしくみ)
などがタンパリング防止のため実施されている包装形態である。

では、冒頭にあげた回収該当商品はどうだったのか?
残念ながら現物を見ることができなかったが、次のように考えられる。
その1:容器包装がタンパリング防止となっていなかったため、混入の有無が外見からわからないため回収とした
もし、容器包装がタンパリング防止となっていなかったとしたら、これは製造会社の怠慢以外の何物でもない。過去に上記にあげた事件が発生(小さいものを含めればこれ以外もある)していることを鑑みれば、企業としてタンパリング防止をするのは当然である。

その2:タンパリング防止措置はとっており外見から明らかにわかるが回収した
実は非常に根深い問題はこちらである。明らかに外見でわかり、もしいたずらにより開封されているとするならばどのようになっているか告知し注意喚起を促すのが最もである。消費するのに何ら問題ない商品をコストをかけて回収し廃棄するのは環境面でも経済面でも負荷がかかり、そのコストはいずれ社会全体へはねかってくるからである。
そしてもうひとつ、なかなか消費者教育として進んでいないのが、このタンパリング防止のために複雑な包装形態がされていることが一般消費者をはじめ流通業においても認識として浸透していないことである。この複雑な包装形態の本来の意図がわかっているのならば、もしタンパリングされていてもすぐ気がつくし、注意喚起だけで回収にまで及ばずに済むのである。
さらに、それがクレームになることも減ると推測される。確かに私自身開けにくいとか何重にもなっていて開封が面倒くさいと全く思わないわけではない。しかしながらタンパリング防止のためにされていることを知っているので、その危険性と開封時との煩雑さを天秤にかけると少々開封時に煩雑でもタンパリング防止されていることの方に軍配が上がるのである。
そして、さらに根深くしている問題としてユニバーサルデザインがある。ユニバーサルデザイン7原則に基づくと、弱い力でも効率よく快適に使える(この場合開封できる)こととなっている。確かに原理原則はそうである。しかしながら現在はそれを補助する道具も多数市場にある。よってタンパリング防止の包装形態を開けにくいといって苦情をいうのではなく、補助道具を使用して意図を理解すべきなのである。

何か問題が発生すれば自主回収することは作業・手段としては簡単である。もちろん、事と場合によっては回収は必要である。しかし、何でもかんでも回収すればいいというものではない。
回収をしなくても被害をくいとめる社会をつくるために、消費者自らも学ぶことが必要なのである。
そうでなければ、我々の社会はいつまでもたってもタイレノール事件が発生した時と何も進歩していないのである。

ましてや、冒頭にあげたように、今回のこの酒造会社の回収と美白化粧品の問題とは本質的問題が全く異なっており、回収が一番!という世論を助長するのはいかがなものかと思う。

反語表現の難しさと考えるということ

本題は違うことだったのだが、紹介されたあるブログの中で、作家の森博嗣氏がかつて、反語が通じないということについて森氏のブログにエントリーされていたこと、その内容が書かれていた。
森氏やこのブログを書いている方同様、反語って通じにくくなってるなと私自身も感じている。
それならば、反語でなくて紋切り型で言えばいいのだが、そうしないのには理由がある。
まずひとつは、反語を使うことにより聞いた時の強烈さを和らげるということである。
例えば、提出されたレポートの出来栄えが悪かったとする。
その時に、このレポートは出来は悪い、やり直し!というと、このレポートは上手に書けたと思ってる?というのとでは、受けた方の印象が違うため、人間関係を維持するには必要な時がある。
もうひとつは、反語を使う方が否がおうでも考えるということを与えられる。
同じくレポートを例に出すと、レポートを書くにあたって必要な項目が、
実験テーマ、使用した試料・試薬、使用器具、実験方法、実験結果、考察 だったとする。
そして、提出されたレポートに使用器具がぬけていたとする。
この時に、使用器具がぬけているから、つけ加えて出しなさいというのは簡単である。
しかし、当の本人はぬけている事を“指摘されて”書いて出した終了。
これでは、次に書く時に、前回実験器具が抜けていたから書く時気をつけなくちゃと腹におちない。
なぜならば、自分の頭で何が抜けているか考えていないからである。
これを反語で、これ、もれなく全部書けてるの?と聞けば、
どこがぬけているか、自分の頭で必死に考える。
考えて、ここが抜けている~とわかると自ら抜けている部分を書きくわえることができる。
そういう場合は、本人の腹におちて次から同じ間違いをする蓋然性は明らかに低い。

はっきり、ここが抜けているから書きくわえなさいという方が、目の前の時間は短縮できるかもしれない。
本人に考えさせるのって想像以上に時間がかかるから。
でも、その目の前の時間を気にすることなく、相手がいかに成長することができるかを考えるのが教育であり、考える時間を与える、そして自分自身をその時間を共有する。
それが愛情だと思う。