同じものを食べても、食べる時間で結果は変わる

今日、お友達の医師の方が、英国の調査で朝食を抜くと冠動脈疾患の危険が高まるかもしれないという研究発表をアップデートしてた。
それを私がみて、そうそう時間栄養学というのがあってね・・・・と話をすると、ぜひ!ということだったので、某所にて時間栄養学についてあげた原稿もとにお話したいと思います。

日本では、生活習慣病、特に糖尿病の患者が年々増え、近年ではメタボリックシンドロームも問題になっています。この原因が摂取エネルギーの増加にあると思っている人が多いかもしれませんが、実は、日本人のエネルギー摂取量は1975年頃をピークに減少を続けています。(厚生労働省の国民健康・栄養調査による)

このように、年々エネルギー摂取量が減っているのに、どうしてメタボや糖尿病が問題になるのでしょうか。原因のひとつとして、運動量の低下や高脂肪食の摂取割合を挙げる人がいるでしょう。しかし、最近は運動習慣のある人の割合が増加しはじめ、また脂質の摂取量も横ばい状態です。そうであるにもかかわらず、糖尿病は増えて続けているのはどうしてでしょうか?

国民栄養調査の結果で、糖尿病と同様に増えてきているものがあります。それは、朝食の欠食率です。これを聞くと、朝食を欠食しても3食食べているよ!という人がいるでしょうが、同じ3食でも食べ方により身体への影響が変わってきます。例えば、同じ3食でも朝食をぬいて、「昼食・夕食・夜食」という食べ方をすると、「朝食・昼食・夕食」という食べ方をしたときよりも、食事誘発性熱産生(※)が少ないことが分かっています。朝に食べたものは、身体や脳の活動を活発にするためにエネルギーとして消費されますが、夜に食べたものは脂肪として蓄積されやすいのです。このように、糖尿病やメタボなどの予防や治療を行うためには、「何をどれだけ食べたか」という従来の視点に加え、「いつ、どのように食べたか」という視点が非常に大事であることがわかってきました。よって、今後の予防や治療において、食べる事に関する時間軸は欠かせないものになりつつあります。

私たちの体温や血圧、ホルモン分泌などは、常に同じ値を保っているわけではなく、1日周期で増減を繰り返しています。この体の日周リズムは私たちとの健康と深く関与しており、もし、一日中真っ暗な部屋で過ごしたとすると、この体の日周リズムは崩れていきます。このリズムを修正するうえで大事な役割を果たしているのが、「朝の光」と「朝食」です。身体の日周リズムは、時計遺伝子によって作られていますが、この時計遺伝子は、大きくわけて、各臓器の代謝などのリズム形成に関与している「末梢時計遺伝子」と、この末梢時計遺伝子を制御して全体の調和をとる「主時計遺伝子」の2種類があります。この主時計遺伝子は朝起きて光を浴びることによって、体内時計の針を修正します。そして、末梢時計遺伝子は、朝食とともに体内時計の針が修正されます。そのため、朝食を食べないと、主時計遺伝子の制御と、末梢神経遺伝子の刻むリズムとが崩れてしまい、身体に不調をきたしてしまうことがあります。

このように、身体の日周リズムは、私たちの健康と深く関係しています。20代~40代では、「夜ふかしをして、朝食を食べないけれど、健診結果は良好だし特に不調はない」という人も多いと思います。しかし、表面的には健康でも、動脈など目にみえないさまざまなところに身体への負担が少しずつ蓄積されていきます。50代~60代になって、その蓄積が表面化してときに後悔しないよう、若いうちから規則正しい生活を心がけてほしいと思います。

※食事誘発性熱産生 食事をするときに消費するエネルギーで、DIT(Diet Induced Thermogenesisと呼ばれています。